認知症の家族の悩みを軽減する方法を体験談から学ぶ

今回は、母親が若年性アルツハイマー型認知症になり、家族として悩んだ体験談です。

家族が認知症になると、考えている以上の悲しみやストレスを家族は抱えてしまいます。

それを完全に解決するというのは、無理な話ですが、少しでも良い方向へ向けるということは大事な事です。

今回の体験談では、そんな認知症の家族の悩みを、家族みんなで話し合って方向性を出していますので、同じように認知症の家族で悩んでいる方は参考になると思います。

まずは体験談をご覧いただき、その後認知症の家族の悩みを軽減する方法を考えていきたいと思います。

認知症の家族の体験談

私の母は若年性アルツハイマー型認知症です。
アルツハイマーは従来65歳以上~75歳くらいで発症すると言われていますが、私の母は若干55歳という若さでアルツハイマーを発症しました。

母は父に連れられ病院に行きました。
その時の母の言葉と父の表情はこれから先も一生忘れる事はありません。

母は、私がアルツハイマーなんてなる訳ないよ。私は正常だよ。と頑なに認めませんでした。
ですが、母の異常を一足先に感知していた父の表情は硬く、苦々しい表情でした。

少しずつ色々な事が出来なくなっていく母への思いは強まるばかりでした。

昔から陽気で常に笑顔の絶えない母でしたが、少しずつ症状が重くなる内に笑顔が消え、表情が消え、昔の母の面影がどんどん薄くなっていってしまう様を見る事が何よりも辛かったです。

そして、それを常に傍で見続けている父の感情の起伏を見る事が何よりも辛く感じていました。

母が一つ一つ、また一つと出来ない事が増えていくに連れて、父の声まで暗くなっていく事がどんどん増えていったんです。

このままではいけないと、家族全員が実家に集まり何度も家族会議が開かれました。
父と私達兄弟3人で、何度も何度も話しました。

母の病気は現代医療では治らない事。
そして、これから先家族で母とどう向き合っていくのか。
施設に入れるのか、自宅で介護するのか。父の負担をどう減らすのか。
兄弟がどのぐらいの頻度で実家に顔を出し、父と母のサポートができるのか。

様々話し合った結果。
母を施設に入れる事が決定しました。
父は自分自身が薄情な人間なのだと責めていましたが、そうではないと皆で何度も話しました。

どれだけ愛情があろうとも、アルツハイマーの患者を父一人でサポートし続ける事は現実的に不可能である事。
面会は一週間に一度はする事。

そして、兄弟達は一か月毎に実家に帰省する事。半年に一回は家族全員が集まれる機会を作る事。
そのような会議を開き、方向性は決まりました。

そして考え方のシフトをしていく事を皆で話し合いました。
母の病気は治らない。
これは紛れも無い事実である事。

だからこそ、私達が考えすぎてしまっても現実は何も変わらない事。
若年性アルツハイマーの寿命は長くても10年~15年。

その間にどれだけ母と関わる時間を一人一人が作り、母との時間を大切にするか。
そう決めました。

まだまだ心の葛藤はありますが、これからも母との時間を大切にし、
実家の家族との時間も大切にしていこうと決めているのです。

認知症の中でも、若年性アルツハイマー型認知症は、若い年齢で発症するため家族の悲しみも大きくなります。

どんな病気でもそうですが、病気になった本人もそうですが、その家族というものはそれ以上に非常にストレスを抱えるものです。

それは何故かというと、病気になった本人はそれを受け入れるのが早いからです。本人が早いというより、家族が遅いと言った方がいいでしょうか。

家族がそんな病気になったのを受け入れられず、悲しみに打ちひしがれてしまいます。現実を受け入れられない限り前へは進めませんので、これは非常に重要な事です。

そして認知症では、それがさらに顕著に影響していきます。認知症の場合には、本人も家族も決して認めたくない為、そこから前へと進むことが出来ずストレスは更に大きくなってしまいます。

体験談では、家族全員で話し合いその後の道筋をしっかりと決めました。これは話し合いをすることで、母親の病気を家族全員で受け入れたからこそ出来たことです。

文中にもありましたが、認知症になったという事実は悩んだり考えたりしても決して変えられない事実です。

ですので、家族がやるべきことは、悩むことではなくそんな家族を中心に考えた場合に、その後何ができるのかという事です。

今現在悩んでる方はそんな簡単には割り切れないでしょうが、それが認知症の本人を含めた家族全員にとって大事な事なのです。

こちらの記事でも紹介していますが、何がみんなにとって負担が少ない事なのかを最初のうちに考える事が非常に大切な事です。
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簡単に割り切れるほどの問題ではありませんが、家族の認知症で悩んでいる方は是非参考にしてください。