職場でのイジメの対策が学べる体験談

これからご紹介するのは、職場でイジメに遭った人の体験談です。

上司や同僚との関係がうまくいかず、これがイジメやパワハラにつながることがあります。

双方に原因があることもありますが、だからといって「複数人対1人」という圧倒的な力関係に持ち込むのはよくありませんし、イジメられた側の精神的なつらさは想像を超えるものでしょう。

これは、仕事にも確実に悪影響を及ぼします。
こういった悩みを抱えたままにならないよう、体験談を通して、職場でのイジメへの対策を考えてみたいと思います。

職場でのイジメを受けた体験談

私が以前勤めていた会社には、21年お世話になりました。

最初に配属になった部署には20年ほど在籍し、その中で培った経験で後輩を育てる立場になったり、部署に新しい機械を導入するときなどは私の知識が役に立ったりと、それなりに会社に貢献してきたつもりです。

自分で言うのも何ですが、社長からも当時の上司や後輩からも「あなたに任せれば安心」と、一目置かれた存在でした。

同じ部署の皆さんともうまくやっていました。

そんな中で仕事をしてきて、20年目。
私に、今までに前例のない部署への異動命令が出たのです。

というのも、異動先の部署は、他部署とはまったく違う専門業務を行っているためです。

そのせいか、この部署は他部署からの異動で新メンバーが増えるということは滅多になく、社内でも“変な縄張り意識がある人の集まり”として有名で、私の異動は、向こうからはあまりよく思われていない様子が伝わってきました。

そして、新部署への異動初日、新しい上司や同僚からはこう言われました。

「あなたの扱いには正直困っている。私たち(新部署のメンバー)よりも古株の社員なのに、なんで異動してきたの?」

「どんなに古株だろうと、この部署に来たからにはプライドは捨ててもらう」
「でも初心者扱いはしない。仕事ができないとかあり得ないので」

そう言われても、異動命令は上層部が出したものですから、私には理由なんてわかりません。

そもそも、古株であることにプライドを持とうにも、新部署の仕事はまったくわからないので一から出直しのようなものです。

その辺は覚悟していたので、新部署の皆さんにガンガン質問して教えてもらおうと考えていた矢先の、この言葉でした。

実際に仕事を始めようと机に向かったところ、仕事についての説明は一切無く、いきなり本番の書類を渡されて放っておかれるという事態になりました。

聞きに行くと「できないとかあり得ないって言っておいたはず」「そんなこともわからないのか」と返されるばかりで、教えてもらうことができません。

結局、この繰り返しの毎日となり、教えてもらえない以上は自分で何とかするしかないと死にもの狂いで仕事を覚えました。

ですが、上司や同僚には、私を元の部署へ戻すか、退職に追い込むか……そういう狙いがあったのでしょう。

一生懸命覚えたことを評価してもらえないどころか、「会社備品の破損の犯人」に仕立てられたり、他の同僚のミスを私のせいにされたりということが続きました。

解決策が見つからないまま精神的に追い込まれた私は、1年後、とうとう退職に至りました。

幸い転職はうまくいきましたが、あの時の心の傷は今も残っています。人間関係が怖いです。
ですが、社内でもかなりの古株である私の退職という「事件」で、この部署の状況は上層部にわかってもらえたようなので、それはよかったと思っています。

この体験談は、部署間の「交流の足りなさ」が生み出した悲劇と言ってもいいかもしれません。

体験者が所属した2つの部署は、同じ会社内でありながら、部署間の横のつながりが欠けており、交流がほとんどなかったと言っていいほどの様子が、体験談の中からありありと窺えます。

そして肝心の上層部がそれを理解していないために、この前例のない人事異動を行った可能性もあります。

対策として、新部署の面々と以前からの交流があれば、多少なりとも体験者を迎え入れる態度にも柔らかさがあったのではないかと悔やまれるところです。

こういった場合、会社全体として飲み会や食事会を設けるなどの交流のきっかけを、定期的かつ積極的に行っていくことが一番の対策となるのですが、会社行事として行っていくと考えたとき、すぐには難しい部分があります。

まずは、体験者自ら交流会を主催してしまうなど、動き出すことも必要だったかもしれません。

1人では難しいのなら、関係がうまくいっていた前部署の人たちの力を借りるという手もあったでしょう。

結局は「退職」という対策になってしまったとのことですが、この方が身をもって示したことが、上層部に実態を知らしめることになったようですし、何かが変わってくれることを祈るばかりです。

完全な対策というのは、難しいかもしれませんが、こうやって人の体験談を読むことによって、自分でやってみれる事も見えてきます。

例えば、退職という気持ちの強さがあるのなら、直接上層部に相談すればもっと早くに対策をしてくれた可能性もあります。

あくまで退職という道があると考えれば、辞める前に出来る対策もきっと増えてくるはずです。

現在職場でイジメを受けている人も、そんな間違った職場を変えてやるぐらいの気持ちで、いろいろな動き方をしてみてください。