今回紹介するのは、親の介護でストレスを抱えてしまい、うつ状態になってしまう前に知っておいてほしい、介護で大切な事についてです。
自分の親だから、自分自身で介護してあげたいと考える人も多いですが、実際それで自分の精神状態が悪くなり、家庭環境にまで影響を及ぼすことが非常に多くなっています。
そんな大変な家族である親の介護というものについて、今回は絶対に考えておいてほしい非常に大切な事を紹介していきます。
この事をしっかりと考えなければ、在宅にしても施設に預けるにしても、介護というものはうまくは行きません。
同じような体験談を紹介しながら、それをもとに親の介護において考えておいてほしい大切な事を紹介していきます。
どんな問題でもそうですが、人によって大切な事というのは違いがあります。
自分自身が体験しながら考える事というのは特に、固定観念に捕らわれてしまい、何が大切なのか見失ってしまう事も少なくありません。
体験談などを客観的な目線で見る事によって、もう一度冷静に考える事ができますので、是非体験談もじっくりとご覧ください。
親の介護で家庭が崩れそうになった体験談

介護のきっかけ
私の家族は父、母、、兄、姉、祖母と私の6人家族で、両親共働きのためいつもおばあちゃんが家事をやってくれていました。
しかし私が21歳の時、同居していたその当時86歳のおばあちゃんが脳梗塞で倒れました。
軽い脳梗塞だったので家族も本人も少し調子が悪いくらいに思い一日家で様子を見ていたのですが、翌日になって、調子が悪くなっていたのですぐに近くの総合病院で診てもらったところ脳梗塞でした。
処置が遅れたこともあり、左半分に麻痺が残り歩くことが出来なくなってしまいました。
私達家族はなぜもっと早くおかしいと思った時点で病院に連れて行かなかったのかとても後悔しました。
リハビリも続けましたが高齢で本人のやる気がついてこれず、3か月の入院後も自宅で寝たきり生活が始まりました。
両親共働きのため今後どうしていくか何回も家族で話し合いました。
父や私達兄弟は現実を受け止め、施設に入れることを望みましたが、母方のおばあちゃんだった為、母はどうしても施設に預けることはできないと強く望んで、結局デイサービスとショートステイを利用しながら家族で見る事にしました。
家庭環境の変化
トイレも一人でいけないおばあちゃんと母は結局喧嘩が始まり、母が精神的に疲れ切っていく様を目の当たりにしました。
そんな介護生活を望んでいないおばあちゃんと、もう精神崩壊しそうな母の関係は4年も続きました。
何か問題があるたびに家族で話し合ってきたつもりでしたが、その当時の母には家族の言葉さえ聞き入れれない状態だったことを後から理解することになりました。
今まで明るかった家庭がなんだか180度変わってしまい、どんよりとした思い空気の家庭になり、悲しくて何度も泣きました。
ある日母抜きで家族で話し合い、母のためにもおばあちゃんを施設に預けようと決めました。
家族の介護をするということ

体験者の考える親の介護
母に話した時は、母はほっとしたような顔とおばあちゃんに申しわけない気持ちとで複雑だったに違いありません。
手続きの書類や一切のことを母の重荷になる事はなるべく父が行いました。
施設入居4年後おばあちゃんは亡くなりました。入居後母は入居させた事で寂しい思いをさせたくないと2週間に一回欠かすことなく4年間会いに行っていました。
母にとってのその当時の最大の償いの気持ちだったようです。
現在、介護と家族関係で悩んでいる方がたくさんいらっしゃると思います。
あの当時を振りかえってみると、喧嘩が増え、本当に家族がバラバラになりそうで、怖くて寂しかったことを思い出します。
しかし、今思えば何かある度に家族で話しあい、本音をぶつけ合っていたからこそ、その当時以上に家族の絆が強くなったんだと思います。
介護の最中は辛くて投げ出したくなりますが、自宅介護であっても、施設入居であってもおばあちゃんへの愛があれば何も入居させることに罪悪感を抱く必要もなければ、後悔もする必要はないと思います。
毎日100%の力で介護をする必要もありません。
疲れた時は色んなサービスを利用したり、人に甘えることも必要です。
しかしそうは思っても出来ないこともあると思います。
そんな時はまず深呼吸。人生で本当に大切なものは何かもう一度自分の中で確認してみてください。
大切な家族だからこそ
親の介護というものが目の前に現れた時に誰もが思う事が、大切な親だからこそという事だと思います。
介護の方法をどうしていくのかという事は、これまでの親との関係、親の考え方、自分自身の考え方など、決める要素はたくさんありますが、一番考えなければならないのは、親が一番楽で幸せな方法を考えなければなりません。
介護をしなければならないという状況ですから、気持ち的には当事者みんながマイナスの気持ちからのスタートです。
マイナスからのスタートだからと言って、何もかも覚悟してやらなければならないわけではありません。
大変な状況だからこそ、その中でも親に一番負担の少ない方法を考えなければなりません。
この事は家庭によって180度答えが変わる場合もありますので、ゆっくりと考える必要があります。
家庭によっては、家に居させてあげたい、親も家にいる事が一番だと考えているから在宅介護という答えを導き出します。
しかし、家庭が一番なのは分かりますが、現実問題介護が在宅でうまくいく状況でなければ、無理をすることによって結局は親自身にストレスを掛ける事になります。
施設に入るという事は、環境が変わるわけですから、最初は必ず多少のストレスはかかってしまいます。
しかしそれでも、我が家で家族に負担を掛けながら、家族がバラバラになっていくのを見てしまうのよりは、施設に入った方が結局はストレスは少ないかもしれません。
介護される側というのも、迷惑をかけてしまっている気持ちがあるというのを考えるのは大切な事です。
ただでさえ申し訳ないと思いながら過ごしているのに、家族がうつ状態になっていくのを見るのは大変辛いと思います。
他人に介護してもらう辛さ、家族に迷惑をかけてしまう辛さ、介護される側にも感じる事はたくさんあります。
このように、状況によって選択しなければならない道は大きく変わってきます。
親、そして他の家族の気持ちも大切ですが、どうする事が一番みんなの負担にならないのかを考えるのが必要な事です。
介護=負担と考えるのが可哀想という考えをついついしてしまいますが、結果としてそれ以上に可哀想な状況になってしまっては、元も子もありません。
在宅で行くと決めたとしても、もしもの事も最初から考えておいて、その都度その都度逃げ道というのを作っていくのが、本当の意味で親にしてやれることだと思います。
在宅でみんながストレスなく過ごせるのがもちろん一番の道ですが、少しでも障害がある可能性があるのならば、うつになってしまう前にちゃんと考えておくことが非常に大切な事です。
介護される親にとっても、介護する側にとっても、なるべく後悔のない方法を考えて、そして決してうつ状態になってしまうような無理な介護が無いように考えていくことが必要になります。